腹黒ナースの毒ガス室

看護師が猛毒を吐き散らし、毒ガス抜きをする空間です。

イグアナ

たまたま救急車途切れて外来に上がって来たら、待合が患者でごった返してた。
診察室バックヤードに入ったら、外来ナースが右往左往して、見るからに忙しそうなので、腹黒はお昼休暇を返上して待合での問診を手伝う事にした。
そこへ、何やら大荷物を抱えた爺がヨタヨタ歩いて来た。
どうしよう…目を合わせたくないタイプだと思ったけど、そういう差別はよくない。
面倒臭そうな奴でも、何か体調が悪くて来たに違いない。
腹黒はそう思って、白衣の天使モードに切り替え、問診を取るために話しかけた。


今日は、本日はどうなさいましたか?


すると爺は、家の立地条件を話しだした。


「うちの陽当りが悪くて」


いきなり不動産の話かよ、と思って聞いてたら


「冬は寒くて低体温だから」


変温動物?


「飲んだ薬の溶けが悪い」


思わず、胃の中の事が分かるんですか?と聞き返してしまった。


そしたら「だいたい分かる」だって、めっちゃ笑ったわ。


で、症状は何かと言うと、低体温で飲んだ薬の溶けが悪いから血圧が高いんだってさ。


寒くなれば普通に血圧あがりますよ、あ、その荷物どうしたんですか?と聞くと


「入院になるかも知れないから持ってきた」


いや、入院にはならないと思いますよ(笑)と答えたら


「んなことわかんねぇだろがっ!」とご立腹された。


仕方ないから診察室に戻って、内科の先生に話したら、先生、大爆笑。


陽当りが悪くて低体温になって、消化、代謝機能低下って、イグアナかよ。


直ぐにお帰りになりましたが、ウミイグアナだって海藻食べに海底に潜って、体温下がると岩場に出て来て日向ぼっこするのに。


因みに爺のあだ名はイグアナに決定した。

馬鹿なのか無知なのか冗談なのか

先週土曜日にコロナ明けで仕事に復帰したというか、一週間の休暇を堪能後に現実に引き戻されたんですが…


地下に居たら外来師長から


腹黒ちゃん、お願い、交替って…何を言われるか分からないから怖くて対応したくない


こんなSOSがあったので、一階外来に行った。


何を騒いでるのかと話を聴いてみれば、馬鹿みたいな後期高齢者になったばかりの婆樣が「これ!これぜーんぶよ!ここの看護師の腕が悪いから、点滴されるたびにこうなるの!」と指差して騒いでるのが、とう見ても加齢によるシミ…。


腹黒、面白がって
へぇー、そうなんですか!これなんか血管の走行に関係無い所にあるけど、これもそうなんですか?


すると婆様は「そ…それは違うけど、コレはそうよ!中で今だに穴が開いてるの!この腕のシミぜーんぶそうなんだから!」


へぇー?!今だに穴が開いてるんですか!そうしたら、皮下出血が固まって腕全体が血腫で固まっちゃいますよー(笑)


そしていきなり腹黒の表情は能面の様になり、淡々と説教を垂れてやった。


あのね、これ全部、加齢によるシミですよ?中で穴が空いて出血したまま何ヶ月も過ごしたら、人って死にます。
こんな加齢によるシミを看護師や点滴のせいにされたら、申し訳ないですけど婆様が受けられる医療は無くなりますよ?


そうしたら、こ…ここここコレは加齢のシミかも知れないけど、この血管のボコボコはどうのよ💢


と文句言うから、残酷な現実を教えてやった。
あのね、高齢になると骨は萎縮…つまり縮むんです。が、血管は長さが縮んだりしないので、同じ走行に蛇行しながら収まるしかないんです。これ、婆様が私達に文句を言ってる内容、全部、婆様が高齢で起きてる現象ですから、ご納得頂けなければ一旦お帰り頂いて、婆様の納得の行く医療を提供してくれる病院を探して下さい。


口調は丁寧だったけど、要するに
ババア、老化現象までこっちに文句言うなや、気に入らなきゃ帰れと言ってやった。


そしたら、アハハハ、そうなの?自分はいつまでも若いつもりだから、加齢でシミが出来たり血管がボコボコしちゃうなんて思わなかったわ〜


あんた、75歳だよ?

頑張る腹黒に三択老衰からのプレゼント

コロナになったでーーー♪
嗄声のみで他に症状無し。


声が出ないたけで他は元気なのに、一週間もお休みが貰えます。



また新しい株なのか、個々の体質なのか、
腹黒のコロナは咽頭痛無しで声帯の部分がこそばゆく、何故か声がカスカスで出ない。味覚嗅覚異常なし、倦怠感無し、カスカス声で食欲旺盛で、一週間もお休み。


これをご褒美と言わずに何と言うのだ。


先週行った銀座高島屋のクリスマスツリー
ピンクベースだと何か違う…やっぱり赤だよね、私の感性が古いのかな。


三択老衰てのは、先日受けた救急の101歳のお爺ちゃんがコロナ感染で肺炎起こしてたの。この年齢でコロナで肺炎というと、延命措置するかどうかを家族に決めてもらわないとイケないのね。


生きるか、死ぬか、望まぬ延命か…の三択よ。


それでERの外で家族が話し合ってる時に、取り敢えず着替えだけでもして楽に過ごせるようにして待ってたら、家族が呼んでも居ないのに勝手に入って来て「延命ってどれくらい生きられるんですか?3〜4年くらいはもちますか?」とか聞くわけよ…こ爺さんの年金アテにしてんのか?と思いながら、
挿管される苦しさ、長くもたないことを説明したら「15日くらいまではもちますか?」…やっぱり年金かよ… 
「分かりません、個人の体力にも寄るので、先生に相談されますか?」と答えると、「例えば14日までしかもたなくて、1割負担だと医療費どれくらい掛かります?」と来た。
腹黒、ムッとした表情が隠せて無かったんだろうね、医事課に聞いて貰っていいですか?と返したら、家族もムッとしたんだろうね、腹黒のことを「なに、あの態度」とごちゃごちゃ文句言いながら出ていった。
結果、延命無しで入院となり、爺ちゃんは明け方にステルベン。
コロナ肺炎というよりも老衰みたいな感じで息を引き取ったらしいよ、病棟から聞いた話では。


そんな爺ちゃんからのプレゼントなんだよ、腹黒のコロナは。